Lala、多分どうしようもなかったと思うわ。恐らくエドガーは我々が誘拐の事実を知るまえに殺されていた・・・」ミッションの失敗に気を落として帰還
したLalaを慰めるアリソン。
「でも彼は重要な手がかりを残してくれたわ。Circle of Thronsは1920年代にゾリア男爵がオランベガを見つけたことでその力を手に入れた。
私たちはずっとオランベガに男爵が開けた魔法の力への鍵があるに違いないと考えていたの。恐らく魔法図書館はその糸口を私たちに与えてくれるはずよ」
「そうね。彼の死が何であったかを知るために、私、魔法図書館を探してみる」
アリソンの言葉に勇気づけられたヒーローは、オランベガの秘密を探るべく、魔法図書館に向かうことを決意したのだった。
数刻の後のオランベガ。地図に示されたこの地下都市の一角を探索するヒーローだったが、一向に図書館のような様なものは見あたらなかった。
「おかしいなあ。地図ではこのあたりのはずなのに」彼女の前にあったのは、魔術書ではなく、重々しいケースに収めれ、おびただしい数の神秘的なルーン文字を記された不思議なクリスタルだけだった。
「もしかしたら、このクリスタルが何か関係があるのかも・・・」
そう思った彼女がクリスタルを手に取ろうとしたとき、不意に暗闇から低い声が聞こえてきた。
「エネルギーが異常だ。ライブラリに侵入者がいるぞ(the energies are disturbed. There is an intruder within the library)。
そして、再び暗闇に響く声。
「ここを侵す者には、ぞっとするような運命が待つのみだ(a hideous fate awaits all who would trespass
here)」
見ればCircle of Thornsの図書館司書(librarian)が、彼女の行く手を遮るように立ちはだかっているではないか。
「図書館司書! やっぱりここが魔法図書館だったんだ。ということはこのクリスタルが蔵書だっていうの!?」
ほどなくして図書館司書を倒したヒーローはこの謎のクリスタルを3つほど手にすると、その正体を探るべく地上へと帰還したのだった。
Circle of Thornsの秘密かあ」アズリアの最後の言葉が心に引っかかったままアリソンの元に帰還した彼女だったが、そこには一刻を争う事態が彼女を待ち受けていた。
件のクリスタルの解析をしていたMAGIの魔術師ナオミ・ハッチンズがCircle of Thornsに誘拐されたというのだ。一瞬エドガーの遺骸の記憶がLalaの脳裏をよぎった。
「急がないと!このままだと彼女までCircle of Thornsの手に掛かってしまうわ」
誘拐者を追って、ヒーローは再びオランベガへと急行した。
そして今度はヒーローの動きの方が早かった。
数刻の後に彼女の目に入ったのは、ナオミの無事な姿だったのだ。
しかし思わず安堵のため息をついたLalaに、救出されたナオミが語ったのは意外な事実だった。
「ええっ?Circle of Thornsの魔術師があなたの命を救ったって言うの?」
実は彼女が生け贄にされようとしてるまさにそのとき、アカリスト(Akarist)と名乗るCircle of Thornsの魔術師に命を救われたというのだ。しかも彼は彼女を助けたのみならず、クリスタルにかけられたプロテクトの解除方法まで彼女に伝えたのだという。
しかし、そのとき・・・・
「なるほど、やはりそうだったか。
私は奴が我々の協定を破棄しないように召還されたのだ。
(i was summoned to consume a human scholar Akarist had best not renege
on this pact)
私の約束された獲物には逃げられたが、貴様をそうしてくれよう
(my promised prey may be denied to me, but you will do)」
背後から響いてきたのは地獄の使者BehimothのThe Taron of Frameの声だった。
やはりアカリストはCircle of Thornsを裏切り、ナオミを助けたのだろうか?
「アカリストはナオミを救い、クリスタルに関する知識をもたらした。もしかしたら彼は私たちの側に寝返ろうとしているのかもしれないわ。Lala、彼を見つけてその真意を確かめる必要があると思うの」
The Taron of Frameを倒し、ナオミをMAGIに送り届けたヒーローを待っていたのは、そんなアリソンの言葉だった。
かくて、三度ヒーローはオランベガへと足を踏み入れることになった。
そして彼女がオランベガの奥深くでアカリストと対峙することになったのは、それほど先のことではなかったのだ。
「Lala!聞いて!大変なことがわかったの!」
混沌の中の彼女に答えの一つを与えたのは、アズリアだった。
彼女はアカリストのアドバイスによって遂にクリスタルのプロテクトを解除し、その正体を突き止めたのだ。
「彼のお陰で謎を解くことが出来たわ。いいこと、Lalaよく聞いて!
あのクリスタルは知識の貯蔵庫なんかじゃなかったの・・・あれは、魂の牢獄だったのよ!」
「魂の牢獄!? アズリア、どういうことなの?」
思いがけない答えにLalaがアズリアに聞き返した。
「あなたが見つけた3つのクリスタルの一つ、明るく白熱したクリスタルには古代のローマの百人隊長から1930年代の終わりに行方を絶ったダウンパトロールのヒーローまで1ダース以上のヒーローの魂が封印されていたの。
そしてもう一つ、暗く光るクリスタルはCircle of Thornsに非協力的だった人間の魂の刑務所の役割を果たしていた。
最後に透明なクリスタルは捕らえた魂を運ぶ容器だったのよ」
なんということだろう。彼らが図書館と呼んでいたものは本の保管庫などではなく、人間の魂のコレクションだったのだ。
だがその恐るべき事実は、もう一つの謎をはらんでいた。
Circle of Thornsは何故人間の魂をこのようなクリスタルに封じ込めていたのだろか?
数日後MAGIから再びヒーローの元に急報が届いた。
クリスタルから解放された魂の一つが証言したところによると、Circle of Thornsが彼らのシンボルの茨の棘をブラックマーケットで放出しようとしているというのだ。
「茨の棘かあ。そういえばロビーはどこからか手に入れた棘の力で虐殺者アラレスになったんだっけ」
不意に彼女はかつて平凡な大学生ロビー青年が、邪悪なCircle of Thornsの司祭に変貌した事件を思い起こした。
棘の正体は分からないが、これを放置すれば、またあの悲劇が繰り返されるに違いない。
「ウォリアースの奴らは取引に遅れるそうだ。
全く奴らはやっかいごと為しにこの街で計画を遂行できやしないのか?(the Warriors are late for the meeting
Can no plan occur in this city without meddling?)」
取引場所と目された古びた倉庫の奥から、Circle of Thornsの声が聞こえてきた。
どうやら相手が遅れたためまだ取引は始まっていないらしい。
その後は一瞬だった。
ヒーローはCircle of Thornsのトレーダーをなぎ倒すと、彼らが取引しようとしていた棘を回収することに成功したのだった。
Circle of thornsの魔法図書館は実は“魂のコレクション”だった。
そしてCircle of thornsのシンボルたる茨の棘は、実はその体から魂を奪い肉体を乗っ取るために何者かが作った罠だった。この恐るべき真相を前にヒーローは暗澹たる気持ちになった。
いったい誰が、そして何の目的でこんな恐ろしい行為を続けていたのだろうか?
そんな彼女の疑問を解くかもしれない情報がMAGIからもたらされた。アズリアが解析を続けいていた囚われの魂の1人が、Lalaが見つけたものより更に巨大な魂の大図書館があると証言したというのだ。
しかし、この貴重な証言をした魂・・・1600年代のNovas Cartageの航海士だったアシュトン・フレッチャー(Ashton
Fletcher)という名前だそうだが・・・は長いクリスタルの幽閉のせいかその場所を正確に思い出すことが出来ず、唯一自身が亡くなった場所からな
ら、大図書館の位置を案内することができるという。
そこでLalaは彼の魂が封じ込まれたクリスタルを手に、彼が亡くなった場所を探索すべく、彼がはるか昔遭難したという海岸の洞窟へと向かったのだった。
「やっぱり一筋縄では終わらせてくれないわけね・・・」洞窟にたどり着いたヒーローはため息をついた。
フレッチャーの遭難から400年。その洞窟自体は確かに変わりなく存在したものの、なんとそこはDevouring Earthの巣窟になっていたのだ。
しかたなく洞窟に巣くうDevouring Earthを排除しつつ、フレッチャーの終焉の場所を探すLalaだったが、ここで以外な人物に遭遇したのだ。
あなたは!?・・・アカリスト!」
「Lala 君がここにくることは分かっていたよ。又会うとは驚いたかい?
君はここにくるべきではなかったんだ。」
Circle of thornsがLalaの動きを監視していることは間違えなかった。
事実彼が残したメモには見えないある者が、彼女の全てを監視していること、そしてその 存在がCircle of thornsのメンバーの肉体を奪い、彼らを悪の道へと招いたことが記されていたのだ。
しかし見えない者とは一体なんなのだろろうか。彼は危険を冒してまで彼女に何を伝えようと考えたのだろうか。
「我々が馬鹿だったのだ。我々は奴らにだまされていた・・・奴らは・・・力を欲した我々に大いなる力の鍵だと偽って棘を差し出した。そしてそれが魂を奪うもの であることを知らずに我々は棘を体に刺し、挙句に我々の魂はクリスタルの監獄に送られた。奴らが奪った我々の死体は、まるで擦り切れた衣服のように奴ら の肉として献上されたのだ。
ああ、なんと言うことだ。アカリストの言うことが正しかった。我が無知だったのだ。
汝Cutie Lalaよ。恐るべきことだ。奴らは何千年もの間我々の足元では生き続け、そして今Circle of Thornsの名を借りて蘇ったのだ。」
オランベガの暗闇に悔恨を滲ませた男の声が響いた。だが、周囲のどこにも人影はない。
ヒーローの前にあるのは、ただ魂の牢獄と化した灰色のクリスタルだけだ。
「クリスタルの中・・・あなたは・・・誰なの?」
「我が名を問うか?Cutie Lala。よかろう・・・我はゾリア・・・Circle of Thornsの創設者、Baron Zoriaだ・・・。」
ヒーローとゾリア男爵との運命的な邂逅の数時間前。
すべてはLalaが開放した魂の大図書館から始まった。
開放された魂の一人がゾリア男爵の側近であるフロスティムス(Frositimus)だと名乗ったのだ。
彼の証言は衝撃的な内容だった。自身のもならずゾリア男爵の魂も実はクリスタルの囚人であり、しかも最近新たに反逆者アカリストを収容するため新たなクリスタルが準備されたというのだ。
Circle of Thornsの創設者ゾリア男爵が殺害され、その魂が囚われているのなら、一体Circle of Thornsは誰が動かしているというのだろうか?そして、叛意が明るみに出てしまったアカリストは果たして無事なのだろうか?
さまざまな疑問の答えを求 め、ヒーローは再びオランベガへと向かい、そして今、オランベガの最奥、巨大な柱が並ぶ宮殿と思しき場所の一角でゾリア男爵の魂を発見したのだった。
灰色のクリスタルに問いかけるLala。
「私はCircle of Thornsの教主であるあなたを倒せば、Circle of Thornsの凶行を止められる、そう信じて戦ってきたわ。でも真実は違った・・・。教えてゾリア男爵!私は今まで一体誰と戦ってきたというの?」
「その問いには私が答えよう」
そのとき不意に現れた人影。
それはCircle of Thornsの反逆者アカリストだった。ナオミの生贄の儀式の最中偶然己の魂を取り戻した彼は、Circle of Thornsを裏切りしばしばヒーローに手を貸したことが露呈してクリスタルに送られる寸前、ゾリア男爵のクリスタルを探索していたLalaの手によって
救われていたのだ。
「Lala。私達がここにたどり着いたとき、オランベガはとうの昔に滅び去った廃墟のはずだった。だがそれは誤りだった。
実は全てのホール、全ての部屋は 目に見えない亡者達によって占められていた。そうだ!彼ら・・・この都市を建設した者達、古代オランベガの魔法使いは生きていた。
肉体を失い霊魂だけと なった彼らは、何千年もの間ずっと復活の時を待っていたんだ。
オランベガは廃墟などではなかった。オランベガは生きている!生きた亡者の都市だったんだ!」